TOP PAGEDIY TOP>肥料のほどこし方





【 植物への肥料のほどこし方 】

もともと肥料がなぜ必要かといえば、山に自生している木々と比べ人工の庭には栄養分が少ないことが原因と言えます。山では大量の落ち葉を微生物が分解し、土そのものに栄養素が蓄積されていきますが、庭では落ち葉も少なく微生物がそれらを土になるまで分解してくれることは無いので、おのずと肥料を与え人工的に育ててやる必要が出てくるのです。

ですので、庭木や花壇の草花など植物に肥料は欠かせませんが、その肥料も元肥や追肥、化成肥料や有機肥料など、植物の種類によっても・庭の土の環境によってもその与え方は様々です。
注意しなくてはならないのは、肥料を与えていれば問題ないかというとそうではなく、与えなくても与え過ぎても生育に障害を及ぼすということです。
生長に合わせて適切な成分の肥料をやる
庭木など植物が元気に育つには、ちゃんとした肥料・、つまり適切な養分の補充が必要となります。
肥料の3要素といえば、「窒素」「リン酸」「カリ」ですが、さらに微量要素の「カルシウム」や「マグネシウム」も供給してやると、病虫害への抵抗力がつき、多くの花や実をつけてくれます。
それぞれの栄養素の働きですが、「窒素」は葉や根の生長に関係し、「リン酸」は花や実に影響したり、種の形成や根の伸びを促します。また、「カリ」は根や茎を強くして、各部の生長を促すのに欠かせません。
そのような基本要素とは別に、ちゃんと与えてやりたいのがカルシウムとマグネシウムで「カルシウム」は根の生長と土質の改善を、「マグネシウム」は葉緑素の成分で光合成を助る働きがあり、元気な庭木や草花が育ってくれます。

●チッソ…主として、葉や茎を育てます。
●リン酸…花を咲かせ実を実らせます。
●カリ…根の生長を促します。
この働きを考え、植物の生長の各段階で必要な成分の肥料をやることがポイントとなります。

チッソ分については、生育の初期段階でたくさん必要とします。そして、花が咲くころになると、それほど必要としません。リン酸分は開花に向かって、だんだん吸収量が増えていきます。カリ分の吸収は、生育の初期から最後までほぼ一定量に維持されます。
植物の種類による必要成分の違い 植物の種類によっても、チッソ、リン酸、カリの三要素のうちどれを中心にほどこせばいいかが異なってきます。草花では、当然花を咲かせるためにリン酸中心にほどこします。ちょっと使い分けがやっかいなのが野菜の栽培です。葉もの野菜の場合は、葉を育てるチッソを中心にしてほどこします。実もの野菜や根もの野菜では、リン酸分の多い肥料をほどこすようにします。根ものの野菜は、カリ分を多くほどこすとより効果的です。

【 有機質肥料の使い方ポイント 】

有機質肥料には、牛糞や鶏糞、骨粉、油粕などがあり、これらは土中の微生物の分解によって無機質状態になり、植物に吸収される肥料です。その場合、無機質の状態になるまで少し時間がかかるので、使用する場合は植物を植え込む1ケ月くらい前に施しておくと効果的な肥料となります。
一方で、無機質肥料は早く水に溶けて植物に吸収されてしまうので、短時間に効果が出てきます。肥料容器には、窒素やリン酸、カリの割合が表示されているので、必要な要素が多いものを選び与えるようにすると良いでしょう。
肥料を施すやり方としては、元肥と追肥という区分けがあります。
これは、植え込む前にあらかじめ施す肥料のことを「元肥」と呼び、あらかじめ花や実がついてから施す肥料のことを「追肥」と呼びます。
「元肥」は効果の持続性を重点にし、長期間、ゆっくり・しっかりと効果が持続するように、有機質肥料または緩効性の化成肥料を施すようにします。
「追肥」は持続して花を咲かせる場合や、果樹の実の甘さを増したいとき等に使用します。ですので追肥は、速効性の化成肥料で液体のものがより効果的に効く肥料になります。ただし、施した後10日も経てば、ほとんど効果が無くなってくるので、一定間隔で追肥を繰り返してやる必要があります。
有機質肥料は元肥を中心にほどこす
有機質肥料の特色として、ゆっくりと穏やかに効いていくという性質があります。これは、有機質肥料は分解がゆっくりと進むために、吸収されるまでに時間がかかるという理由によります。また、有機質肥料はその年にすべて吸収されつくすとは限りません。翌年、翌々年へと養分が持ち越されるものもあります。つまり、元肥としてたっぷりと有機質肥料を入れておけば、少しずつ必要な量の肥料分が植物に送られます。ですから、有機質肥料だけで草花や野菜を育てる場合には、元肥を中心にほどこすことを心がけるようにします。
追肥で用いるときは季節や天候に応じる 有機質肥料は元肥を中心に育てていく方法をとるのが原則ですが、生育期間が長い野菜などは、どうしても追肥が必要になってきます。しかし、勢いがなくなってきたからといって、たくさん追肥をするのは問題です。植物の生育は肥料よりも日当たりの善し悪しや水、気温に大きく左右されるもので、こうした条件が整ってはじめて肥料の吸収も促されます。したがって、追肥をほどこすときには、季節と天候のことを充分に考えて行なうことが必要です。まず季節について見てみると、気温の低いときや極端に高温のときは一般的に植物の生長は停滞します。そこで、肥料も控えめにすることがポイントとなるわけです。そのかわり、生長の旺盛な春や秋にはたっぷりとほどこすように心がけます。天候でみると、水分が充分にあると植物の生長も旺盛になります。したがって、雨の多い季節は肥料も多めにほどこします。乾燥が続くときは逆に控えめにし、むしろ水やりを心がけます。
未発酵の有機質肥料は2〜3週間前に 有機質肥料には二つの種類があります。油カスや鶏フン、牛フンなどのように、発酵していないままの状態のものが一つ。そして、これらのものを発酵させてつくった発酵済みの肥料です。このうち、手軽に利用できるのが発酵済み肥料で、種まきや植えつけの1週間くらい前でもほどこせます。発酵前のものは、ほどこしてから発酵が始まります。そのため、発酵時に発生する有害物質や発酵熱によって根が傷むことがあります。ですから後述する全面にほどこす場合では、種まきや植えつけまで2〜3週間は間をあける必要があります。肥料が充分に土となじみ、根が養分を吸収しやすくなるまでの期間です。その後も発酵は進んでいきますが、ゆるやかなので植物への害は出なくなります。
元肥は全面か溝をつくってほどこす 花壇や畑に肥料をほどこす場合には、いくつかのやり方がありますが、元肥の場合と追肥の場合とで異なっています。最も簡単なやり方が、花壇もしくは畑の全面にほどこすというやり方です。
@花壇や畑の全体に均一に肥料を振りまいてよく耕す
A畝をつくる場合にはそのまま土を寄せる
このやり方のメリットは、作業が手軽であるということです。しかし、短所もあり、肥料の量が多くなります。また、発酵前の肥料をほどこした場合には、すぐに種をまいたり苗を植えつけたりできません。もう一つのやり方が、溝を掘って肥料を埋めるというもの。菜園などに適したやり方です。クワを用いて耕しながら溝を掘り、溝の部分に肥料をほどこします。溝の両側から土を寄せて肥料を埋め、さらにその上へ土を寄せて畝をつくるというものです。このやり方には、表面には直接肥料が出ないため短期間で種まきや苗の植えつけを始めることができるという利点があります。さらに肥料の量にも無駄が出ません。ただし、根が伸びて肥料に達するまでに時間がかかるのが欠点です。種をまいて育てるものよりも、苗を植えつける栽培に向いています。

【 ほどこし肥料の分量 】

生長の度合いに合わせほどこす量を調整する
植物の生長の早さによって肥料のほどこす量は異なります。生長の早い草花・庭木とゆっくりした生長をする草花・庭木とに分けて見てみましょう。
●生長の早い草花
一・二年草……カーネーション、キク、ケイトウ、サルビア、ペチュニア、プリムラ、マリーゴールドなど。
球根・宿根草・……カラー、ガーベラ、グロキシニア、シャクヤク、ゼラニウムなど。
樹木……アジサイ、ポインセチアなど。
●ゆっくり生長する草花
一・二年草……アサガオ、インパチエンス、キンギョソウ、キンセンカ、スイートピー、デージーなど。
球根・宿根草……グラジオラス、クロッカス、コリウス、スイセン、スズラン、ヒアシンスなど。
樹木……ツバキ、シャクナゲ、サツキなど。ほどこす量は、充分に発酵させた油カスと骨粉を混ぜて利用する場合、1uについて、生長の早い植物の場合は300〜400g、ゆっくり生長する草花の場合は200〜300gです。化成肥料(低濃度化成肥料)は、1uあたり100〜200gの範囲で、植物の生長の早さに応じて調整します。追肥は、草花の様子を見ながら、2〜3か月後から行ないます。ただ一般的には、草花類をひとくくりとし元肥とその後の追肥によって育て、樹木類は年1回寒肥として乾燥鶏糞をほどこす程度で充分です。

【 肥料の大きさと使い方 】

大きさによって肥料の効き方は違う
園芸店やホームセンターにあるガーデニングコーナーなどの肥料売り場には、さまざまな肥料が並んでいます。その中で、主として有機質肥料では、さまざまな大きさのものがあります。固形肥料などのような大粒のものから、中粒、小粒とあり、さらに粉末になっているものがあります。また、液体肥料もあります。この中で、肥料の効き目が表れるのが最もゆるやかで長期に効くものが、固形肥料などの大粒のものです。以下、大粒から液体肥料への並び順で、効き目が早く表れてその分効く期間は短くなります。
肥料のほどこし方で効き方は異なる 肥料のほどこし方、ほどこす位置によっても効き方が異なって表れます。基本的には、粒が小さいほど、土に触れる面が広いほど効き目は早く表れ、その反対に効く期間は短くなります。肥料のほどこし方には、元肥としてほどこすときによく行なわれるやり方として、土と混ぜ合わせるというものがあります。これは、粒の小さい肥料を用いますが、早く効き目を出させるためだからです。また、同じように元肥として、親指大くらいの粒を埋め込むやり方を組み合わせます。これは、効き目を早く出させるとともに、元肥の効き目を少し持続させるためのものなのです。これに対し、追肥として行なわれる方法に、固形肥料を表土の上に置くやり方があります。一般に置き肥と呼ばれる方法です。この方法は、効き目はすぐには表れませんが少しずつ長く効き目が持続するのです。もう少し早く効かせたい場合には、土の中に半分ぐらい埋め込みます。

【 活力剤について 】

最近ではホームセンターの園芸コーナーなどで、よく活力剤なるものを販売しています。ただこの活力剤というのは肥料ではありませんのでご注意ください。
我々人間が、疲れた時によく栄養剤を飲みますが、それと同様なもので、元気がなくなってきた植物を元気にしたい場合に利用すると良いと思います。
ガーデニングの基礎知識へジャンプ



【 おすすめのイチオシ関連品 】

肥料を使いこなす!



【書籍名】
用土と肥料の選び方・使い方―図解 家庭園芸


【販売価格】
1530円

肥料、用土、堆肥、土壌改良剤、容器などを、育てる植物の特性や自分の育て方のクセに合わせて選び、使いこなせるよう、わかりやすく図解で紹介しています。
肥料

※肥料の販売一覧です