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【 草花の挿し木のやり方 】

熱帯性と温帯性での適期の違い
挿し木は、植物を増やす方法の一つとして広く行なわれています。枝や茎、葉、新芽など植物の一部分を切り取って根を出させ、その植物と同じ性質の苗をつくることができます。種をまいて育てるのに比べて生長が早いため、花を早く楽しめるという利点があります。また、古くなった株を更新するという目的で行なうこともできる方法です。挿し木は、植物の様々な増やし方の中で初心者が行なっても比較的失敗の少ないやり方の一つです。
しかし最も注意したいのは、挿し木を行なう時期です。一般的に言って、「挿し木は春でも秋でも行なうことができる」と考えてよいでしょう。具体的には、春は4〜5月、秋は彼岸〜10月となります。しかし、作業後から開花までの期間をできるだけ長くしてその分生長を促すということを考えると、春に咲く草花は秋に行ない、秋に咲く草花は春に行なうようにすると良いのです。ただし、熱帯地方を原産地とする草花は、観葉植物も含めて6月に行なうのが最も適しています。
挿し穂の取り方の三つの方法 挿し木を行なう場合、元となる木のことを「親木」といいますが、そのどこの部分を切り取って挿すのかにより、三つの方法があります。なお、切り取って挿す部分を「挿し穂」といいます。人によっては「穂木」とも呼んでいます。
@天芽挿し
親木の伸びた茎や枝の先のほうを7〜10p切り取って挿し穂とするものをいいます。これが、挿し木では一番失敗の少ないやり方です。
A胴挿し
茎挿しと呼んでいる場合もあります。天芽挿しの挿し穂をとったあとの部分の4〜5節を切り取って挿し穂とする場合です。通常は確実な天芽挿しを行ない、大量に増やしたい時などにはこの方法を併用するとよいでしょう。
B葉挿し
ベゴニアやセントポーリアなどで行なわれます。葉を切り取って挿し穂とします。観葉植物では、サンセベリアなどで行なわれます。多くの植物で、天芽挿しと胴挿しの両方ができますが、一部の植物では茎挿しをした方がよいものがありますから、注意が必要です。

【 庭木の挿し木のやり方 】

常緑樹と落葉樹で適期は異なる
→般的にいって、常緑樹の挿し木は6月下旬〜7月中旬に、落葉樹の挿し木は2月下旬〜3月上旬に行なうのが最も適しています。「常緑樹は梅雨明け前、落葉樹は早春に挿し木を行なう」と覚えておけば間違いありません。常緑樹の場合は、梅雨の前半に行なうのは好ましくありませんが、逆に、成功率はやや落ちますが、秋の彼岸〜10月上旬にも行なえます。また、落葉樹ではアジサイが別格で、6月に行なうのが最適です。

【 挿し木の手順 】

挿し穂は日の当たっているところから取る
挿し木の手順で、最初は「挿し穂を取る」という作業です。株を大量につくるという場合を除けば、普通は数株をつくれば良いというものです。そこで、天芽を中心に取るようにします。大量につくる場合は、茎も使いますが、この場合もあまり株の下のほうから取ることは避けたいものです。そのあたりは、老化していて発根しにくいからです。
挿し穂は、できるだけ日のよく当たっているところから取ります。日当たりが良いということは、光合成が活発に行なわれている元気なところが利用できるからです。また、樹木の場合は、新しい枝のところをとります。古い枝は老化していて挿し木には適しません。しかし、あまり未熟な枝では腐ることがありますから、注意が必要です。
挿し穂をとる場合に用いるのは、鋭利なナイフが最適です。ハサミを使うと、切り口がつぶれてしまって発根しないことがあります。
また、挿し穂をとるときに斜めに切ると良いとよく言われます。根は、切り口の周囲から出てきます。従って、直角に切って切り口を正円にするよりも、斜めに切って切り口を楕円にしたほうが円周が長くなり、その結果として出てくる根の数も斜めに切ったほうが多くなります。そして、挿し木が成功する確率も高くなるというわけです。しかし、それほどの違いがあるわけではありません。むしろ、切り口をいかにきれいに切るかが重要なポイントとなります。それが発根を左右するからです。
とった挿し穂は調整し1時間ほど水揚げする 挿し穂を取ったら、まず調整しておきます。挿し穂に節があるものは、一番下の節の直下でもう一度切ります。こうすると発根率が高まります。葉の数が多かったり大きかったりするときには、葉の数を少し減らしたりそれぞれの葉を半分に切ったりして、葉からの水分の蒸散を抑えてやります。その後、水を入れたコップなどに挿し穂を1時間ほどつけ、水揚げを行ないます。
挿し穂は挿し床に垂直に挿す 水揚げが終わったら、挿し床に挿し穂を挿します。挿し床に利用する容器は、数が少なければ普通の植木鉢が利用できます。汚れをよく落とし、赤玉土(小粒)とバーミキュライトを等量に混ぜ合わせて入れます。用土は、草花の場合には、ほとんどこれで間に合います。バーミキュライトの代わりにピートモスも利用できます。樹木の場合は、鹿沼土の単用でも利用できます。挿し床に割り箸などで穴をあけて挿し穂を挿し入れ、指で軽く周囲を押さえます。挿し穂を斜めに挿すと良いともいわれますが、特にこだわる必要はありません。斜めに挿すと、生育に従って上向きになるため、かえってゆがんだ苗が出てしまいます。
挿し木後は日陰に置き絶対に乾かさないこと 挿し木が終わったら、挿した植木鉢などを日陰に置いて発根を待ちます。このときのポイントは絶対に用土を乾かさないことです。そのため、水を張った鉢皿に鉢底をつけておくと確実です。鉢皿の水が減ったら、補充しておきます。
もう一つのポイントは、発根を確認しようと挿し穂を引き抜いたりしないことです。せっかく生長し始めた根をたちどころに傷めてしまうことになります。発根したかどうかの確認は、植木鉢の底を見ます。底にあいている鉢穴から新しい根が見え始めたら、根が充分に生育している証ですから、このときが定植の適期ということになるのです。それまで適切に管理しておけば、植え替えたりする必要はほとんどありません。その後は、それぞれの植物に合った培養土に植えたり、充分に土づくりをした花壇などに植えつけたりします。いずれにしても、発根して根づいたときには、地表部では新しい芽が出始めるので、このことでも発根を確認することができるのです。








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